第695回
日本のゼネコンが1社もないわけ

中国のゼネコンはほとんどが国営事業です。
私たちが北京や上海でビルや工場を建てる時も、
その土地にある何社かの国営ゼネコンに
見積もりを頼むことになります。
ゼネコン同士で談合が行われるのかどうか
わかりませんが、
国営事業との交渉ですから
なかなかこちらの思い通りになりません。

ゼネコンといっても請負う仕事は
建物の躯体が中心で、
電気工事や空気関係はまた別の業者に頼みます。
ゼネコンに一任すると、また下請けに出しますから、
その分、値が高くなります。
またサッシやガラスやエレベーターまで
別勘定になるので、
建築主自身が監督をやとって
ゼネコンの役割をはたすことになります。
すると、やとった建築管理人が建築主の目をかすめて
材料費を誤魔化したりするので、
大陸で建築主をつとめるのは
とてもしんの疲れる仕事なんです。

日本ではゼネコンに一括して発注すればすみますので、
大陸に進出した日本の企業は
ビルを建てる時も、工場をつくる時も、
日本のゼネコンに発注したがります。
特殊なケースですから政府に申請をすると
建築業者としてのライセンスが下りますが、
ケース毎のライセンスなので、
1回きりの仕事で終わってしまいます。
それでも日本のゼネコンなら安心だと言って
日本企業は仕事を任せますが、
実質上はすべて現場の建設関係工事に下請けに出し、
自分たちは工事監督に廻るだけですから、
どうしても建築費が高くなります。
それでも監督が行き届いていれば、
仕上がりも現地国営ゼネコンに任せるよりは
ランクが上ということが考えられます。
その代わり建設費用が30%はアップしてしまいます。

これでは到底、競争に打ち勝って行くことはできません。
大陸で活躍している日本のゼネコンやマンション業者が
1社もないのを見てもわかります。
高度の技術を必要とする化学工場とか、
発電所のようなプラントは別として、
いわゆる不動産の分野で日本の企業は
とても中国人と互角の勝負はできないのです。


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2002年2月3日(日)

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