第719回
魚のいないところで釣りをするな

日本で完全雇用に近い状態が続いたのは、
人手さえあれば付加価値を生み出すチャンスが
いくらでもあったからです。

ところが、供給が需要をオーバーして
物があまるようになると、値段を安くして売るか、
物をつくるのをやめるよりほかなくなてしまったので、
仕事がなくなって人があまるようになってしまいました。

これが国内だけの問題なら、
労働者が団結して労働時間を短縮して、
仕事を分けあえば問題の解決になるのですが、
もっと労賃の安いところに引越して生産をすれば、
コストが半分、もしくはそれ以下に下がりますから、
工場はどうしても
海外に生産基地を移すよりほかなくなります。

自分たちの会社がそれをやらなくても、
ライバル会社がやれば、
会社そのものの存立が危うくなってしまいます。
日本中の会社が協定を組んでそれをやらないとしても、
他の先進国の企業がそれをやれば結果は同じだし、
低賃金の国が外国から技術を導入して同じことをやっても
同じことが起ります。
グローバル化によって関税さえ払えば、
製品を自由に国から国へと
動かすことができるようになりましたから、
需要と供給のアンバランスは世界的規模で調整する以外に
方法がないのです。
先進国で働いている人にとっては
天から災難がふりかかってきたようなものです。

ですから付加価値が失われてしまったところに
いつまでもしがみついていても、
やがてメシが食えなくなることははっきりしています。
そういう立場におかれている人は
次に付加価値を生むところはどこか、
それは自分にできる仕事かどうかを考えて
動くよりほかありません。
経営者からサラリーマンまで
いまは仕事の再選択をしなければならないところに
来ているのです。

難しい問題に直面することを怖れていてはいけません。
魚のいないところでいつまでも釣糸を垂らしていても
魚は釣れないのです。


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2002年2月27日(水)

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