第721回
企画とデザインは海外生産のキーポイントです

昔は米を売る商売も、材木を売る商売も、
できたものを仕入れてきて、
仕入れ値段より高い値段で売ることによって
成り立ってきました。
脱穀したり精米したり、
もしくは製材する加工過程がありましたが、
それは米や材木の質まで変える仕事ではありません。

しかし、素材を加工して
最終消費製品にしたものを売買するとなると、
消費者の嗜好を考慮に入れなければならなくなります。
いくらいい製品でも、いくら安い値段でも、
消費者がそれを気に入ってくれなければ、
商売になりません。
特に異国間で消費者の好みに左右される
流行商品や嗜好食品の取引をするとなると、
最重要なポイントは
消費者が喜んで買ってくれるものであるかどうかです。

これは消費者に直接接触をする
販売業者でないとわかりません。
ましてや風俗習慣やファッションのセンスの違った外国の、
それも物づくりをする工場の経営者や職人に
わかる筈もありません。
だから多国籍にわたって最終消費材を手がける商売は
メーカーよりも販売に従事する流通業者に
主導権があります。

ユニクロだけでなく、
日本のファッション・ビジネスに従事している人たちは、
さまざまの製品を中国に発注しています。
売れる商品のほとんどが日本で企画し、デザインし、
その縫製加工だけを中国の工場に委託していますが、
生産工場の品質管理にも
日本側から監督者を派遣しています。
ちょっとでも油断すると、
洗濯に耐えられない素材を使ったり、
裏地に質の悪い素材を使ったりして
たちまち不合格になってしまうからです。

つまり国際的な格差を利用して
生み出される付加価値の中には、
労賃のほかに流通業者の消費者の好みに対する読みという
ノウハウ料も入っているのです。
労賃とノウハウ料とどちらが大きいかというと、
ノウハウ料であることはいうまでもありません。
何が売れるかという読みが間違っていたら、
どんなに安くできた商品でも
只のごみ屑にすぎないのですから。


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2002年3月1日(金)

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