第744回
私は手形を書いたことがありません

手形を発行して支払いの期日を待ってもらえば、
現金で支払わなくてすみますから、
少なくとも支払日まではお金のやりくりがつきます。
しかし、2ヶ月だろうと、3ヶ月だろうと
期日が明記されている限り、期日は必ずきます。

期日までに販売代金が回収できれば、
資本の乏しい企業でも何とかやりくりができますが、
支払いのためにもらった代金が同じように手形で、
2ヶ月後、3ヶ月後の期日になっていたのでは
支払いに間に合いません。
そこで銀行と交渉して受取手形を割ってもらいます。
割るとは利息を支払って現金化してもらうことです。
そういう需要の多い時は、利息を払った上に、
歩積み両立てと言って、
現金化したお金の中から一定比率の金額を
強制的に貯金させられます。
万一、割った手形が不渡りになった場合に、
手形の買い戻しをさせられますが、
その時のための準備金だというのが銀行側の言い分です。
でも誰が見ても、これは実質の現金立て替えを減らして
両立てによる金利のサヤを稼ぐための言い訳にすぎません。

そういう無理難題を押しつけられても、
背に腹は変えられないので、
中小企業は銀行の言いなりになってきました。
手形割引は銀行や金融業者の仕事ですが、
手形の振出人が弱体でも、
手形の割引を依頼する会社が弱体でも、
現金化するに際して、
弱身につけこまれて悔しい思いをさせられます。

また仕入れ代金の支払いのための手形でなく、
金ぐりに困って一時逃がれに出す手形を
融通手形と言いますが、
融通手形が出廻わるようになると、
先はそう長くはありません。
支払期日に銀行に預金の残高がなく、
不渡りになると、銀行取引を停止されてしまうからです。
約束手形にはそういう欠陥がありますので、
私は銀行からの借金に対する約束手形を
銀行宛に書いたことはありますが、
支払いのために約束手形を書いたことは
1回もありません。
不渡りになるのがおそろしいからです。


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2002年3月24日(日)

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