第745回
借金経営がいまもあとを引いています

銀行からお金を借りて商売をすることになれた人は、
借金をすることにもなれているし、
手形でやりくりすることにもなれていますから、
あまり金ぐりの心配をしないようです。
でも他人からもらった手形が
不渡りになって銀行から買い戻しを要求されたり、
その結果金ぐりに詰って自分が振出した手形が
おちないようなことが起こったりすると、
いわゆる連続倒産に見舞われます。

私はそれがおそろしいので、
工場経営をやった時も、手形を1枚も切りませんでした。
でも代金を受け取る時は、
手形でないと承知しない取引先からはやむを得ず、
手形で支払いを受けました。
第1次石油ショックのあった時、
私はピンチに見舞われて、
1年のうちに工場を7社も閉鎖したことがあります。
工場の閉鎖廃業は容易なことではありませんが、
それを7社も同時にやれたのは、
未収はあっても未払いがなかったからです。

もちろん、銀行からの借入金はありましたが、
銀行からの借入れには不動産の担保がありましたので、
工場の土地と建物を処分すれば
何とか借金の返済ができました。
工場の機械や設備は
稼働している時は財産価値がありますが、
一旦、ストップしてしまうとあとは二束三文です。
そういうことも考慮に入れて、
資産価値のある土地建物を購入する時は
銀行の融資を受けましたが、
機械や設備はすべて自己資金で賄いました。
そうした配慮をしたおかげで、
銀行に対しても恥をかかないですんだのです。

しかし、今回のデフレでは
こうした配慮も役に立ちません。
私は自分の持っていた工業団地も
二束三文で叩き売ってしまいましたが
もし見切り千両を地で行かなかったら、
土地も建物も3分の1、5分の1に下がって、
借金の埋め合わせもできなかったに違いありません。
戦後からこの方、日本の企業は
借金を主流として経営をしてきましたので、
不良債権化することから逃げきれませんでした。
いまは企業も銀行もその咎めを受けているところです。


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2002年3月25日(月)

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