第814回
物づくりは海外へ、サービス業は国内で

日本人は物づくりが得意中の得意で、
それによってアメリカと匹敵する富を築いてきました。
でも物づくりに必要な「良質で安価な労働力」と
「国際的に低廉な通貨」という条件を失ってしまったので、
自国内で付加価値を創造する基盤を失ってしまいました。

「世界の工場」は中国に移っています。
誰もそれを食いとめることができないのです。
日本にいてそれに対抗できない以上、
日本人は工業生産をあきらめるか、
工業生産を続けるために
工業生産に向いた地域に移動するよりほかありません。
日本人が物づくりをやめない積りなら、
日本の国から外へ出て行くより
ほかない時代になったのです。

私は日本人は物づくりをやめないだろうと見ています。
物づくりに生き甲斐を感ずる人が多いし、
そういう天分を持った人も多いからです。
とりわけ企業は物づくりによって成り立っていると、
それをやめて
単なるディーラーに変身する気にはならないでしょう。
過去の実績もあることだし、
蓄積された資本も技術もありますから、
それを持って新しい生産基地へ動くことが考えられます。
外国へ動いたとしても、
日本企業であることに変わりはありませんから、
日本企業として生き延びることができます。
日本企業の成功は日本人の成功と見てよいでしょう。
日本国内だけに限って物事を判断する時代は
もう過ぎようとしているのです。

その代わり日本企業について海外に出る日本人は
一握りの人になってしまいますから、
いままで工業生産に従事していた日本人の大半は
職場を変えることになります。
残された職場は流通業とサービス業に集中しますから、
若い人たちはパソコンをいじるとか、
他人のお金を動かす投資事業とか、
年寄りの面倒を見るとか、皿を運ぶ仕事とか、
セールスマンをやるとか言うことになるでしょう。
国に残る人と外国に出て働く人とでは、
選ぶ仕事も職場もしぜんに違ってしまいます。
そのどちらを選ぶか、の自由はまだ残っていますが・・・


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2002年6月2日(日)

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