第813回
景気の底は割れていると思って下さい

政府は先月(5月)景気が底入れしたと発表していますが、
『もしもしQさん』をお読みいただいている皆さんは
ご承知いただいているように、私はそうは考えていません。
仮に底に達したとしても、底を這うだけのことで、
戻りになることは容易ではありません。
産業界全体がリストラを続け、
所得が全く伸びず、失業者が増大の一途を辿っている時に
消費がふえるわけがありません。

それどころか、物価は安くなる一方で、
少しでも消費がふえる兆しを見せたら、
安い工業製品が
海の向こうからいくらでも輸入される時代ですから、
デフレの風はとまらないのです。
デフレの風をとめようと思うのが間違いで、
むしろデフレの風に帆をかけて西から東へ東へと進むのが
21世紀の貿易のやり方ということになります。

こうした風向きのとらえ方を間違えると、
逆風に向かって突進するようなものですから、
船長はとてもつとまりません。
企業全体を浅瀬に乗り上げたり、難破させたりしますから、
昔習った経済学や企業経営の常識では、
いまの荒波は乗り切って行けないのです。

いまはグローバルに物を考える時代です。
どこの国の政治家も企業経営者も
正確に先が見えているとは言えません。
いま起っている異変は
しばらくすると元に戻るわけではなく、
もっと違った方向に
私たちの住んでいる社会を変えて行くと考えるべきです。
たとえば、
日本は生産基地としての条件を失っていましたので、
採算に合わなくなった企業は
工場をドンドンと中国大陸に移していますが、
或る時点に達したら、
風向きが逆になるということはないのです。
将来、中国の賃金が高騰して中国が生産基地として
不適当になることもあり得るでしょう。
だからと言って日本が再び
工業生産の基地に戻るわけではありません。
地球的規模で物を考える時代に向かって
動いているのですから、
産業界の地図が全面的に描きかえられるのだという認識が
必要だと思います。


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2002年6月1日(土)

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