第817回
セールスマンが一番優位に立ちます

日本がサービス業、流通業中心の社会に変わったとしても、
日本人の生活レベルがひどく落ち込むことはありません。
産業界の構造が変わるのは、
お金儲けのチャンスが変わるからであって、
そのあとを追って行けば、
しぜんにメシのタネにはありつけるものなんです。

物づくりがメシのタネであった間、
物づくりは生命の次に大切なものでした。
しかし、物づくりをしてもメシが食えなくなると、
人間の考え方も変わります。
物づくりを依然として大切と思う人は
生産基地の移動について、外国に動くよりありませんが、
生産基地がなくなってしまっても
日本国内には消費者は残っていますから、
その人たちに物を売ったり、
サービスを提供するマーケットは残っています。
マーケットがあれば、商売はちゃんと成り立ちます。

アメリカを見て下さい。
ローテクの生産基地はほとんど外国に移ってしまったし、
ハイテクのパーツも台湾や日本や、
続いて中国大陸に移りつつあります。
でも、アメリカ人は別に生活に困っていません。
どうしてかというと、
流通業やサービス業がもたらす付加価値は
工業生産がもたらす付加価値に比べて
まさるとも劣らないものがあるからです。

前にもふれましたが、
私の友人で深の隣の町で革靴を月に百万足つくって
アメリカの有名靴メーカーにおさめている人がおります。
工場の仕切り値は1足10ドルですが、
アメリカのメーカーはそれを自社製品として
1足60ドルで販売しています。
つくっている人よりも、売っている人の方が
ずっと利益の幅は大きいのです。
アメリカ人はその利益を
皆で分けあって暮らせるのですから、
物が売れる限り心配はありません。
外国に支払う10ドルを
どうやって相手国から稼ぐかだけを考えればよいのです。
メーカーから最終消費者までの物の動きの中で
一番大切なのは、
物づくりではなくて「売る力」だということです。
とりわけ過剰生産が常態化した世の中では
セールス能力のある人や会社が一番優位に立ちます。


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2002年6月5日(水)

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