第818回
安くつくるより売れる視点から

デフレの世の中になると、
物を安くつくることが一番大切だと
つい思い込んでしまいます。
安ければ売れるということは、間違いありませんが、
安くても売れなければ、安いことは何の役にも立たないし、
また高くても売れれば、安くする必要はありません。
要は物を売る力があるかどうかにかかっています。

物が売れるかどうかはかなり心理的なものです。
消費者の心理の動きがつかめれば、
売れない物でも売れるし、
よく売れる物をつくることもできます。
たとえば、中国でつくれば
日本の半額で売っても商売になると言いますが、
消費者が喜んで買ってくれなければ、
半額のそのまた半額でも売れ残ってしまいます。
だから、国内でつくったものであろうと、
多国籍にまたがって企画したものであろうと、
消費者の心をキャッチできるかどうかにかかっています。

ユニクロが一世を風靡したのも、
日本の消費者の好みにあった
衣料品の企画に成功したからです。
ユニクロよりも安い値段で売っている衣料品は
上海や北京のデパートに行ったら
いくらでも売っています。
それが日本で売れないのは、
中国のファッション・メーカーが
日本の消費者の購買心理を読み切れていないからです。

逆に日本の自動車メーカーが中国に進出して
中国のマーケットを開拓したいと思ったら、
中国の自動車を欲しがっている人たちの心理を
読み切れることが絶対的な条件です。
いま日本では小型車が1台百万円なら
軽自動車は70万円でなければという議論が盛んですが、
中国では恐らく一見、ベンツと見間違えるが
ベンツより3割くらい安い値段で買える車なら
とぶように売れるでしょう。

消費者の心理は、ところによっても、
また時代によっても変わります。
そうした変化をうまく読める人は
どんなところに連れて行かれても、
メシにありつけない心配はありません。
そうしたセンスを身につける訓練を心がけて下さい。


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2002年6月6日(木)

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