第819回
日本の対応はそんなに悪くありません

グローバル化時代の事業展開の仕方は
アメリカと日本ではかなりのひらきが見られます。
アメリカでは儲からない仕事は
何の惜し気もなく捨ててしまうのに対して、
日本ではにっちもさっちも行かなくなるまで粘ります。
不良債権の整理もそうですが、
メーカー業の廃業にもその傾向が見られます。

ですから、アメリカではメーカーの販路だけを残して
ディーラーに変身する光景が見られましたが、
日本では大企業だけでなく、
その下請け企業もドンドン海外に工場を動かしています。
従って海外からの輸入はふえてますが、
輸出する例も輸入する例も
日本の企業であることが多いので、
輸出入のバランスは
それぞれの国の数字として計上されますが、
日本企業間の取引ですから、
入超がふえたとしてもその恩恵を蒙る企業も
日本の企業ですから、
その利益のかなりの部分がまた日本に戻ってきます、
戻って来ないとしても、
日本の海外資産をふやすことになります。

それでも日本の輸入がふえる方向に向かえば
日本は帳尻の不足分を払う資金を
捻出する必要がありますが、
いまのところ輸出は
好調で黒字基調に変わりはありませんから、
支払いに難渋する心配はありません。
問題の多いのはむしろアメリカで、
アメリカが世界から集めたお金の運用を誤れば、
お金に逃げられる場面も考えられます。

それに比べれば、日本は貿易黒字が続いている上に、
海外投資がふえる方向にありますから、
輸入がふえても支払いに困ることは考えられません。
むしろ国内産業の再結成が進むなかで、
個人資産を只に近い銀行や
郵便局の定期預金にしておくよりも、
利益率の高い海外投資に向けることが考えれますから、
日本が資本勘定で海外から受け取る金額は
ふえる可能性があります。
そうして見ると、
日本の政府だけが不良債権の整理に追われて
国債の格付けを引き下げられているのは
おかしいと思いませんか。
日本はグローバル化のさなかで
そんなに悪い位置にはおかれていないのです。


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2002年6月7日(金)

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