第850回
アメリカ発世界大不況のスタートですね

粉飾決算は日本の会社だけのおはこではありません。
エンロンからはじまってワールド・コムに至るまで、
アメリカでも業績が悪化しはじめると、
株価の暴落を防ぐために経理の操作が行われます。
しかし、一時しのぎに世間の目をごまかすことができても
ピンチが長く続くと、金ぐりが苦しくなりますから、
馬脚を現わすことになってしまいます。

9・11がなかったとしても、
10年以上続いたアメリカの好景気は
やがて整理の段階に入ります。
ましてや生産のかなりの部分を輸入に依存し、
IT革命と株価の操作に依存した経済構造を
そう長く維持することは容易なことではありません。
テロが契機になって人員削減がはじまれば、
失業者がふえ、消費が減退すると予想するのが
順当でしょう。

それを消費の前倒しとしか考えようのない
無利息分割払いによる自動車の売上げ増を加えて
5.5%の成長という発表をすれば、
その次か、またその次が消費の大幅減退になることは
目に見えています。
5月に入ると、円高ではなくて、
ドル安の徴候が表面化したので、
私はこの1、2カ月が勝負ですねと言いました。

はたして1ドル130円台だったドルが
120円を割っただけでなく、
ユーロに対しても、他の通貨に対しても
全面安になったので、
ドル安が株安を誘い、株安がまたドル安を誘って、
アメリカ発世界大不況の様相を呈してきました。

日本にして見れば、円安による輸出増が
景気底入れの誘い水になると見ていたのが
逆の方向にぶれてしまいますから、
底入れどころの騒ぎではありません。
アメリカが咳をすれば世界中が肺炎になるのは
免れないところであり、
いまの状態が更に一段と深刻な形で長く続くことを
覚悟しなければならないと思います。
それでも飢え死をする心配はありません。
経済の発展した国では物もあまっており、
生産にも余力が残っているからです。
むしろデフレ対策ができているかどうかが問題でしょうね。


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2002年7月8日(月)

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