第882回
「景気の底が抜けた」というのが正解です

エンロンが倒産したり、
ワールドコムの株が大暴落すると、
それがきっかけで株式市場も大暴落に見舞われました。
そのあおりを食って
多くの投資家が財産を失うことになりますが、
どこの企業も相継ぐ企業買収で
莫大な借金を抱え込んでいますから、
銀行の貸付金はたちまち不良債権に一変してしまいます。
この10年に日本で起ったことが
アメリカで連鎖的に起る可能性は出てきました。

これらの企業に対しては日本の銀行もお金を貸しています。
銀行によって金額に違いはありますが、
今後、アメリカで倒産が起る度に、
折角、不良債権の解消に全力をあげている日本の銀行が
新しい不良債権を抱え込むことになります。
ペイオフの実施で
日本国中の預金者が戦々恐々としていますが、
日本の銀行は皆から集めたお金を
日本の企業には貸し渋って
ドルに換えてアメリカに持って行って
アメリカの上場企業に貸しているのです。

アメリカの一流企業なら
絶対大丈夫だと思ってやったことでしょうが、
倒産されたのでは元も子もありません。
いや、倒産されなくても、
アメリカの景気が悪くなって
日本からの資金を引き揚げるとなったら、
円高で目減りした上に金利のレートが下がりますから、
赤字と採算悪化に見舞われることになります。
多分、日本に逃げて帰るお金だけでなく、
日本株を売ってアメリカに戻るお金と
入れかわりになりますから、
一瀉千里にドル安になることはないでしょう。
でもアメリカが万策つきてドル安を容認し、
それによって外国からの輸入に
ハドメをかける政策にかわったら、
日本の銀行だけでなく日本の産業界全体も
その影響をもろにかぶることがないとは言えません。
少なくとも輸出増を梃子にした
景気恢復をさせようという夢は
絶たれてしまったと見てよいでしょう。

すると、「景気は底を打った」という少し前の政府の発表は
希望的観測だったということになり、
「景気は底が抜けた」というのが
正しい見方だということになります。
私たちは景気の底が抜けても
ちゃんとメシの食って行ける方法について
真剣に考える必要があります。


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2002年8月9日(金)

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