第922回
財産三分法ってきいたことありますか

昔々(と言っても戦前のことですが)
財産三分法というのがありました。
財産をうまく運用して行くためには
持っているお金を三分して、三分の一は不動産に、
三分の一は株や債券などの有価証券に、
残りの三分の一は現金性の預金にして
危険分散と有利性のバランスをとれと言う考え方です。

この考え方は富士銀行の前身だった
安田銀行の創業者だった安田善次郎翁の
発案にかかるものだと言われています。
安田善次郎と言っても知らない人が多いと思いますが、
東大の安田講堂を寄付した人です。
明治から大正にかけての日本は資本主義化によって
景気不景気の波にくりかえし洗われた時代でありますから、
産業界もその度に大きな影響を受けました。
その時々により、不動産がウケに入ったり、
株がウケにはいったこともあり、
逆にキャッシュで持っていた方が
ずっと有利だという時代もありました。

だから卵を一つのお盆の上に全部載せて運ぶより
別々のお盆に載せて危険分散をしておいた方がよいと
安田翁は考えたのです。
急にお金が必要になった時に、不動産が安くなっていることもあれば、
株が安くなっていることもあります。
どれか一つに集中して持っていると、
安いのを承知で叩き売らなければならないことが起ります。
預金があれば、それをおろして使えばよいのですから、
つまらない目にあわないですみます。

かと言って現金とか定期預金だけにしておくと、
不動産の値上がりに相乗りできませんし、
株式のブームの恩恵にあずかることもできません。
どこの土地が値上がりしそうだ、どこの株が有望か、
ふだんからよく研究をしてそれを財産の一部にしておけば、
指を喰わえて他人が儲けるのを
タダ眺めているだけに終わらないですみます。
この教えに従った人たちは戦前、
お金持ちの仲間に加えてもらうことができました。
でも戦後の高度成長期にはそのままでは
通用しなくなってしまいました。
或る時代は真理であっても、時代が変わると
真理でなくなることがあるのです。


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2002年9月18日(水)

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