第925回
財産三分法に市民権の復活を

インフレがデフレに変わると、
財産管理の原則も一変してしまいます。
明治大正期はインフレとデフレが交互に入れかわる
景気循環の時代でしたから、
その変動をうまく乗り切るために
危機の分散を主眼とした財産三分法が
説得力を持っていました。

戦後の高度成長期は不況が二年以上続くことは
ありませんでしたから、
一本調子のインフレ時代だったと言っても
許してもらえるでしょう。
こういう時代は借金をして土地を買うのが
一番効率のよい利殖法でしたから
土地成金がたくさん誕生しました。
しかし、生産によって付加価値を生む時代がすぎると、
土地に対する需要がほぼ飽和点に達したこともあって、
土地が逆転して値下がりをするようになりました。
その上、工業品の万年過剰生産とグローバル化によって
生産大国日本の優位が崩れてしまったので、
デフレが国全体を覆うようになったばかりでなく、
長期化が避けられなくなったので、
不動産と株と現金がいままでと
まるで違う動きをするようになりました。

不動産はジリ貧の一途を辿っているし、
株はニューヨークとナスダックの総崩れで
東京も17年ぶりの安値を更新しています。
こんな時は現金を持っているのが一番強い筈ですが、
政府が銀行や企業救済のために借金に借金を重ねているので、
政府そのものがおかしくなるのではないか、
お札の洪水になって悪性インフレになるのではないか
と多くの人たちが恐怖心をつのらせています。
こういう時は現金を持っていても不安なんですね。

産業界の動きはもとより戦前とは同じではありませんが、
迷いの多いことでは戦前に戻ったようなものです。
金持ちになった分だけもしかしたら、
迷いは昔以上かも知れません。
しばらく忘れられていた財産三分法が
再び説得力を持つようになったとしても不思議ではありません。
少ない財産を更に分けたのでは
目につかなくなってしまいますが、
危険分散のためにはやむを得ないでしょうね。


←前回記事へ

2002年9月21日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ