第952回
生鮮四品の中で一番売れるのはお惣菜です

「個食の時代です」と言われて
何のことかわからかず戸惑ったことがあります。
確か、いまそごうの建て直しに奔走している
和田繁明さんがまだ西武百貨池袋店の地下に
食品館を建ちあげて話題になった時のことでした。

「個食って何ですか」とききかえしたら、
「一人で食事をすることですよ。
昔は一家揃って食事をすることが多かったけれど、
いまは一人暮らしの人もふえたし、
家族が別々に食事をすることも多くなって、
3人分、4人分を一包にした包装では
多すぎるとお客さんから文句が出ているのです」

なるほど言われてみれば、
一人分しか素材を必要としていない人にとって、
既成概念で一包に詰めた分量では 
何回にも分けて料理をしなければなりません。

「一人分の包装があれば、
もっと売上げがふえるだろうというのが現場の声です。
私たちとしても消費者のそうした要望を
無視するわけにはいきませんので」

見ていると、デパートでもスーパーでも
個食用のパッケージが並ぶようになってしまいました。
更に追かけるようにして、
素材よりも自分でわざわざ料理をしないでも
すぐに食べられるお惣菜が次から次へと並ぶようになって、
独身の男の人が買うのかと思ったら、
何と亭主持ちの奥様たちまで堂々と
買物籠の中に入れているではありませんか。
かつて肉、魚、野菜果物をあわせて生鮮三品と呼んでいたのが、
いつの間にかお惣菜も加えて生鮮四品になってしまったのです。

そればかりではなく、生鮮四品のうちお惣菜売場が
日に日に大きなスペースを占めるようになりました。
もしかしたら女性は台所で料理をつくるのを
やめたのではないかと思いたくなるほど
お惣菜が食品売場で幅をきかすようになってしまったのです。
きけば新婚世帯の中には包丁と俎板のないのも
珍しくないと言いますから、
商売の常識も大きく変わらざるを得ません。
しかもデパートの中でそこが一番人だかりしているのですから、
過去の常識にしがみついていたら、
商売もあがったりになってしまいます。


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2002年10月18日(金)

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