第973回
味の世界でも日本人は頑張っています

レストラン業を事業として成功させようと思えば、
チェーン店を展開して売上げをふやすよりほかありませんが、
個人の趣味とプライドを満足させるためなら、
名料理人として味で勝負をし、
天下の食いしん坊と社会的な地位のある人たちに
ひいきになってもらう方法があります。

料理人の地位の低かった頃は学校の勉強のできない子とか、
家が貧しくて学校に行けなかった子が
料理屋に丁稚奉公に行かされました。
その中で料理のセンスを持った人だけが
群を抜いて一家をなしたのです。
それに比べると、ヨーロッパでは早くから
料理人の地位が確立し、ミシュランのガイド・ブックで
三つ星のレストランに推されたお店のシェフは
世間からもてはやされ、店も大繁盛するようになります。

料理も芸術や音楽と同じように才能が物を言いますから、
名料理人の家に生まれた者があとを継げるとは限りません。
西洋でも日本でも料理屋の名声は
長くて30年というところを見ると、
料理は才能が生むものだということがわかります。
所得水準が上がり社会が豊かになるにつれて、
日本人にもそういうことがだんだんわかるようになったので、
大学を途中で辞めて料理学校に入りなおしたり、
フランスやイタリアまで出かけて行って、
名シェフの門を叩く若者も時と共にふえてきました。

そういう人たちが修行を終えて日本へ帰ってきて
次々とフランス料理屋やイタリア料理屋をひらくようになり、
いまでは本場に負けない素晴らしい料理を出す店がふえました。
なかにはフランスにいる間に、
ミシュランの星をもらった料理人もあれば、
日本へ戻って成功してから
パリに逆上陸してレストランをひらき、
星をもらってパリっ子の注目をひいている人もおります。

料理についても、日本人は後発だけれど、
自動車の開発に負けないくらい頑張っています。
時々、ヨーロッパに行って味の食べ比べをすると、
そのことがわかってきます。


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2002年11月8日(金)

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