第975回
フランス料理も曲り角に来ましたね

ヨーロッパもご多分にもれず、株価も安いし、
景気も悪化の一途を辿っていますが、
三つ星のレストランはどこも毎日、満員です。
どうせ商売をやるなら、不景気にもデフレにもめげない
こんな商売をやりたいものです。

ある時期、私は毎年のように
ヨーロッパに食べ歩きの旅行に行きました。
その頃は年が若かったせいもあって、
昼夜、二つ星、三つ星のレストランが続いても平気でしたが、
この2、3年さすがに昼夜と続けることができなくなりました。
仕方がないので、昼は同じ店で食べる場合でも
なるべく軽くすませるようにし、
夜は三つ星のフルコースを連日、続けましたが、
さすがにこたえて最後に近づくと昼を抜きにしました。
それでも夜のフルコースをきれいに平げることができなくなり、
とうとう最終日はアラカルトで
勘弁してもらうよりほかありませんでした。

何せもう30年もやってきたことなので、
料理人も次々と入れ替わったし、
現役でいまを活躍しているシェフたちも久しぶりに会うと
白髪がふえて年寄りになっています。

そんなことよりも、今度、行って食べて見て感じたことは、
フランス料理もかなり行き詰っているなということでした。
かつて伝統的なフランス料理に対して
ヌーベル・クィジーヌが一世を風靡し、
印象派のように新鮮さをあたえましたが、
人より傑出して認められようとすると、
どのシェフも人のやらないことをやることに心を奪われて、
奇をてらった創作に走るようになったことです。
違った珍しい材料に違った味つけをしたり、
容器にやたらにこったりして、
味がひどく安定感をなくすようになっているのです。
料理の持っているオーソドックスな安定した味が忘れられて
枝葉末節にこだわった演出にばかり力が入っているのです。
そうでもしないとミシュランの審査員たちに
認められないかも知れませんが、
フランス料理も転換期に来たなあという印象を強く受けました。
次の時代を背負う名シェフが現れるのでしょうか。
それともこのまま低迷期が続くのでしょうか。


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2002年11月10日(日)

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