第994回
生産基地の大移動は予想できました

みんなで共産主義下の中国をバカにした時、
私はバカにしませんでした。
共産主義化の中国は行政能率も悪いし、
経済もうまく機能しないし、
人権もかなり無視されていました。
でも抑制されて死んだフリをしているだけで、
中国人は知能指数も高いし、勤勉で労働意欲もあります。
そうした中国人を金しばりにしている制度を
少しゆるめただけで、
生産力も一挙に向上する潜在能力は持っています。

そういう制度上の欠陥に気づいた小平が
その10年も前から改革の実験に乗り出し、
既に経済特区や自由市場でかなりの実績をあげていました。
もしこうしたテスト・プラントの成果を
全国的なスケールで実行に移したら、
たとえ政治制度の改革が遅れをとったとしても
先ず経済が成長の軌道に乗り、
かつて日本が辿った道を中国が歩むことも夢でなくなります。

中国の平均賃金は日本の30分の1です。
日本の賃金が高くなりすぎたのに対して、
中国は低すぎます。
低いのは労働の質とも関係ありますし、
訓練されていないこととも関係があります。
しかし、日本の賃金が高くなりすぎただけでなく、
円高になってメイド・イン・ジャパンのコストが
これだけ高くなったら、
日本で物をつくるより中国でつくった方が
ずっとコスト安になることは目に見えています。
既にその動きは
日本企業の海外移転という形になって現われており、
共産下の中国に入れない工場がとりあえず、
タイやマレーシアに移っていましたが、
もし中国政府がその姿勢を少し変えたなら、
それだけで、日本だけでなく、
ヨーロッパやアメリカの生産工場も拠点を
中国大陸に移すことが考えられます。

かつて日本に付加価値をもたらした条件が
一挙に日本から失われてしまうのですから、
生産基地がいつまでも日本にとどまっているわけがありません。
日本だけでなく、それに続いて工業化に成功した
台湾や韓国についても同じことが言えます。
私は生産基地の大移動を予想しました。
それが誰の目にもはっきりと映るようになったのです。


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2002年11月29日(金)

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