第1007回
上海には台湾人が40万人もいます

いま上海に台湾の人たちが40万人もいると言われています。
何をしに来ているかというと、
仕事を探がしに来ているのです。

台湾は日本の後を追って工業化に成功しましたが、
日本と同じように賃銀が上がってコスト高に悩んでいます。
縫製や製靴のような労働集約型の加工業は
とっくの昔に大陸に移動しましたが、
最近ではアメリカのITメーカーに
部品を納入している台湾のITメーカーのほとんど8、90%が
工場を中国大陸に新設しています。
台湾島内では商業界の空洞化がすすみ、
失業率も6%に届く動きになってきました。

そうすると失業者が職を求めて
上海に来ているのかと言うことになりますが、
もちろん、それもあります。
でもそれ以上に多いのが社長の夜逃げです。
台湾でも香港でも自営業者の多いところですが、
過剰生産とデフレによってメーカー業でも流通業でも
採算に乗らない企業がふえています。
損得に対する感度は台湾人の方が
日本人よりすぐれていますから、
駄目と思ったらすぐに店や工場を畳みます。
悪質なのになると、台湾の土地や建物を
担保に入れて借りるだけのお金を借りて、
資金は大陸に運び、台湾の会社は倒産させます。
銀行の不良債権は日本どころの騒ぎでなくなり、
まだ氷山の一角が見えているだけですから、
来年以降もっと大へんなことになるでしょう。

社長の夜逃げが先にあって、
少し頭の回転のよい中堅幹部がそれに続きます。
そういう人たちが上海に集まっているのですから、
良い仕事があれば、投資する資金もあるし、
職を求めてとび出してきた連中にしても
技術を身につけているか、頭の回転のいい人間が多いので、
一口に言えば高等難民の疎開と言ってよいでしょう。

日本では大企業の工場移転ばかり目について、
中小企業の社長の夜逃げはまだあまり目につきませんが、
おかれている立場は台湾とあまり変わりありませんから、
そろそろはじまっても不思議ではありません。
その時になったら台湾の社長たちのやり方が
参考になるかも知れません。


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2002年12月12日(木)

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