第1008回
なぜ日本では社長の夜逃げが起らない

夜逃げは借金の支払いのできなくなった貧乏人が
夜陰にまぎれて引っ越しをする光景ですが、
台湾では金持ちの夜逃げがハヤっています。
コスト高になって物をつくっても
引き合わなくなった会社の社長が
労働者と工場の設備を放置したまま大陸へ逃げるのです。
会社を閉めるとなると、新しい労働基準法に基いた
莫大な退職金を払わなければなりません。

そんなお金はないし、操業を続けても
損を出すだけということになれば、
工場の土地や建物を担保に
銀行から借りられるだけのお金を借りて、
それを持って大陸へ逃げれば、
台湾の銀行が大陸まで追いかけてくる心配はありません。
政府が違いますから、台湾の司法権は大陸まで及ばないのです。

いま台湾では1社で何百億元(1元は3.5円)単位の倒産が
続いていますが、
そういう会社は大陸で大きな投資をやっており、
こちらは本社が競売されても何とか営業を続けていけます。
こんな形の計画倒産は、もちろん、極端なケースですが、
これだけデフレとグローバル化がすすめば、
一つのところで同じことをやっていたら
大へんなことになってしまいます。

台湾の場合は、もとを言えば
大陸からの移民ですから、言葉も通ずるし、
中国人がどんな気質であるか熟知していますから、
お金儲けのチャンスさえあれば、
大陸でも事業を展開ができます。
もしそのまま台湾で操業を続けていたら、
恐らくはとっくの間に倒産していた企業が
工場を大陸に移したために、
いまや大陸で5万人もの従業員を使い、
台湾に上場されている株の株価が
額面の3倍も4倍もしている例があります。

して見ると、言葉や気質の上で違いがあっても、
日本の中小企業のおかれている立場も
ほとんど同じだと言ってよいでしょう。
どうして日本の中小企業のオヤジさんは
こんなに反応が鈍いのでしょうか。

もしかしたら、日本の場合はここが世代交替、
選手交替する時期に来ているということなのでしょうか。


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2002年12月13日(金)

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