第1010回
中国が台湾問題で手を焼いているわけ

台湾と中国のいがみあいはいつも新聞ダネになっていますが、
そういう政治的な障害を乗り越えて、
台湾の企業が大挙して大陸に投資をしたために
カネとモノの流れが大きく変わって、
お互いに相手がいなくては
成り立たないところまで来てしまいました。
統一という最終目標は、政治家たちの思惑とは別に、
実質上、勝負があったなあと私は見ています。

それなら北京政府の作戦が成功したのかというと、
必らずしもそうではありません。
大陸では台湾資本に道をひらき、
多くの台湾企業が大陸に進出しています。
10年前からスタートして既にかなりの実績をあげ、
いよいよ収穫期に入ったなあという企業も少くありません。
インスタント・ラーメンの康師傅とか、食品の統一企業とか、
ガラスの台湾玻璃とか、ケミカル・シューズの宝成とか、
自動車の裕隆と中華汽車とか、タイヤの正新とか、
その他、セメント・電子部門でも大陸の儲けが
台湾の株価を左右する時代が既に来ています。

それくらいお互いに支え合う時代になったのですから、
大陸に出稼ぎに行った台湾の人たちが
大陸びいきになっていそうなものですが、
それがそうではないのです。
大陸政府はこの前の台湾総統選挙の時も、
大陸で働いている台湾人の関係者だけでも100万票はあるのだから
台湾独立を主張する民進党の陳水扁が
当選する筈がないと踏んでいたのが
物の見事に裏切られたのを見てもわかる通りです。

民主政治からまだ程遠い距離にある中国政府では
台湾に住む人たちの心理も、
大陸まで出稼ぎに来ている台湾の人たちの心理も
うまく読めていないのです。
私に言わせると、そんなに難しいことではありません。
これだけ近くにいてなお反感を持たれていると言うことは
いま大陸政府が主張していることと
台湾政府に対して嫌がらせをやっていることに
台湾の大半の人が賛成していないということです。
ですからいま主張していることとちょうど反対のことをやれば
台湾なんか一ころということです。
でも人間ってそんなに急には賢くなれないんですよね。


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2002年12月15日(日)

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