第1013回
移民の子孫は逃げ足も早い

私は台湾で生まれ、
台湾人と日本人の間に挟まれて育ったので、
台湾人のいいところも欠点も、
また日本人のいいところも、また欠点も、
自分なりに見て知っています。

植民地時代の台湾は日本人が支配していたので、
日本人が威張っていましたが、
日本人(当時は内地人と呼ばれていました)が
台湾人(当時は本島人と呼ばれていました)より
優秀だということはありません。
高等教育への門は台湾の人に閉ざされていたので、
少人数しか高校や大学に入れませんでしたが、
狭き門を突破して上級学校に進学できた台湾人は
学校の成績でもトップを切っていました。
たとえば、私が入学した台北高校の尋常科は
1学年40名のうち台湾人は5名しか入学を許されませんでしたが、
1番2番は台湾人で、3番からやっと日本人でした。

教練とか体操では
教師が台湾人の学生にいい点をくれませんでしたから、
総合で1番2番になるためには他の課目で
100点とか99点がズラリと並ばなければなりません。
ですから私にしても東大の受験をする時に
難しいと思ったことは全くありませんでした。

でも台湾人と日本人はやはりどこか違ったところがあります。
日本人は日本語だけ勉強すれば間に合いましたが、
台湾人は家に帰ると台湾語ですから、
小さい時から少なくとも2つの言葉で育っています。
その上に英語とドイツ語ですから、
のちにアメリカ留学をするようになっても、
日本人の学生よりは負担が少くてすみました。

どうしてかというと、台湾人は大陸からの移民の子孫で、
もともと難を免れて故郷から逃げ出してきた人たちですから、
いつでも逃げる用意ができていて尻が軽いのです。
今日、上海だけでも40万人も台湾人がいると言うのも、
台湾でメシが食えなくなりそうだと思ったら、
メシの食えそうなところを目指して
動くことを躊躇しないからです。
メシが食えなくなっても
なかなか尻を上げないようとしない日本人と
そこが違うところです。


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2002年12月18日(水)

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