第1021回
アメリカの銀行をお手本にするな

日本の銀行はアメリカの銀行をお手本にしたらよい
という考え方がありますが、私は間違いだと思います。
日本でも産業界の資金需要が減少したこともありますが、
中小企業にお金を貸したら
返してもらえなくなるのではないかと懸念して
銀行の方がお金を貸さなくなったので、
産業界への融資は減少する方向にあります。

アメリカの銀行はそのずっと以前から
企業に融資するのを控えるようになりましたから
事業資金への融資は全体の30%しか占めていません。
金利さえ確実にもらえれば、どこに貸しても同じだし、
もっとたくさん金利がもらえれば
もっといいという考え方ですから、
カードの貸越しで高い利息をとったり、
サラリーローンにお金を貸したり、
子会社を作ってサラリーローンまがいの仕事をやっております。
あとはファンドに投機資金を提供したり、
デリバティブの相方をつとめたり、
でなければ為替の売買で利ザヤを稼いだりしています。
一口で言えば、バクチの賭け金を貸すか、
自分たちがバクチに打って出たりするようになったのですから、
産業界に功献していますと
大きな口を叩くことができなくなってしまったのです。

私もアメリカの銀行と取引がありますが、
銀行から持ち込まれる話は、
まとまったお金の運用を任せてくれないかということと、
どうやったら税金を払わないですむかという
節税のことばかりです。
もし日本の銀行もあれと同じことをやるようになったら、
この世の終わりに近づいたなあという感じです。

もし産業界にお金儲けのタネがなくなったら、
産業界は銀行に用はないし、
銀行の分け前もうんと少なくなります。
従って銀行は駅前の大通りに
店を構えてなんかおられなくなります。
銀行のはたす役割が小さくなれば、
銀行のスケールが小さくなるのは当たり前でしょう。
困難にぶっつかるのはアメリカの銀行より
日本の銀行の方が先ですから、
もうしばらくたったら、
アメリカの銀行が日本の銀行のあとを追うようになります。


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2002年12月26日(木)

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