第1040回
国境はなくなったと考えて下さい

戦後、日本の産業地図が
塗りかわる時期がありました。
工業化しなければメシが食えなくなることは
誰しもうすうす気づいていましたが、
50%を占めていた農業人口が5%以下まで下がり、
日本が工業生産で
世界のトップを切る金持ちの国になることを
予想できた人が何人いたでしょうか。

工業化すれば日本の産業地図は大きく変わります。
工業地帯は大都市の周辺と
船の出入りに便利な沿海地域に新しく開発されました。
そこへ行けば職にありつけ、メシが食えましたから、
人口の大移動が起こり、
メシの食えないところから
メシの食えるところへ人が流れました。

次にグローバル化によって
地球的規模でそれと同じ事が起こると、
生産基地は中国へ移ります。
おかげで中国の産業地図が
大きく塗り変わることになり、
いま中国全体で人口の大移動がはじまっています。
それは中国国内だけにとどまらず、
全世界の生産地図に大きな影響をあたえますので、
カネやモノの動きも変わり、
それに従ってメシのタネも移動します。
モノやカネはルールに従って動きますが
ヒトはそれに抵抗します。
国境があって、ヒトが動くのは
必らずしも容易ではありませんが、
メシのタネが大移動するのに、
人だけ動かないとなると、
メシの食いっぱぐれということが起こります。

工場が閉鎖すると、失業が起こります。
法人も個人も収入が減りますから、
税収も減ります。
反対に失業を救済したり、
公共投資をふやす必要が起こりますから
財政はピンチにおちいります。
その上、デフレの風が吹き込んでくるとなると、
経済構造全体が大きく変わると
考えるよりほかありません。

どうにも対応できない人たちは
職を退くよりほかありませんが、
あとを継ぐ人や新しく仕事をはじめる人は
地球的規模で吹きまくるデフレの風に
対応するよりほかありません。
自分の生まれ故郷に固執していては
生き残ることもできなくなってしまいます。


←前回記事へ

2003年1月14日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ