第1042回
百貨店は二十貨店になれません

ニッパチの理論はレストランだけでなく、
物を売る商売にも適用できます。
洋品店だろうと家具屋だろうと雑貨屋だろうと、
店の中に山のように商品が積まれていますが、
どの商品もよくさばけるわけではありません。

いつもその時々のハヤリスタリがあって、
店に陳列してある物の中に必らず売れ口商品があります。
でも、100種類の商品があったら、
売れる商品は20種類くらいで、
その売り上げが全体の80%を占めるということが起るのです。

デパートを百貨店と呼ぶように生活に必要なものは
何でも一通り揃えてあるのが売物でしたが、
何でもあるということはそのうち20%だけがよく売れる商品で、
80%が売場のスペースを占領しているだけで
大してソロバンに合っていないことを物語っています。

デパートは個人商店に比べると、ずっと合理的で、
商売上手な人たちが朝から晩まで考えに考えて
商品の入れ替えに励んでいます。
だから売れない物はたちまち姿を消すし、
しばらく行かないと、
棚の位置から売場まで一変してしまっています。
それでもなおニッパチの理論は生き続けていますから、
これで大丈夫と胸を撫でおろすことはできないのです。

たとえばカミソリの歯を買いに行ったら、
ありませんと言われたことがありました。
どうしてだろうと頭をかしげたら、
スーパーのレジのところに
安売りのカミソリの歯と乾電池が山と積まれています。
なるほどあれと競争できるわけがないのですから、
デパートに並べても全く意味のない物が
いくらでもあるようになったのです。

売れない物を次々と減らして行ったら、
百貨店は五十貨店か三十貨店になってしまいます。
本当はそうしなければならないのですが、
それでは百貨店でなくなるので、
いまでも売れない物をたくさん並べているのが百貨店です。
そんなことで、デパートはどうする積りだろうかと
心配しているのは私だけではありません。
間違ってもデパートの株に
手を出してはいけないと言うことです。


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2003年1月16日(木)

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