第1057回
税理士のセンセイのまたセンセイ

日本の税金は世界的に見ても高い税金に属しますが、
お金がラクに儲かった頃はさして気にもなりません。
いやな共同経営者と
半分分けするシステムになっていると思えば、
ガマンできないことではなかったからです。

でも大不況になって金儲けが容易でなくなってくると、
夜討ち朝駆けして
やっと手に入れたお金に重税をかけられると、
片腕をもぎとられるような気持になってしまいます。
サラリーマンは源泉課税ですからさして気にしませんが、
中小企業や自由業者はかなり神経質になります。

税金のことは税理士任せという人が多いのですが、
たまに自分で勉強したいと思っても、
手に入る税金の本は国税庁のお役人さんか、
税理士のセンセイの書いた解説書ばかりです。
税金を払う身になって書いた本が一冊もありません。
そう考えたので、
全くのシロウトだった私が俄か勉強をして、
納税者の立場から税金のことを書くことを思い立ったのです。

文士の書く税金の本ですから、
当然、シロウト臭さは免れられませんが、
その分、新鮮さもあって、クロウトの公認会計士や
税理士のセンセイの注目を浴びました。
クロウトには二種類の人がいて、
一種類はシロウトの癖に
我々の縄張りを荒らすことはけしからんと
目の敵にする人たちであり、
もう一種類は我々の常識とは違った観点から
物を見ていて面白いじゃないかと
心に余裕のある人たちです。

気の小さい人は私がどこかで間違わないかと
虎視眈々と狙っており、
減価償却について説明するにあたって
私が残存価格を計上していないのを見ると、
一せいに抗議の手紙を新聞社宛に送ってきました。
反対に私に好意を持った人たちは
「税金の話をこんなに面白く取り上げられるとは
考えてもいませんでした。
ぜひうちの顧問先の社長さんたちにもきかせて下さい」
と私に講演を依頼するようになり、
私は税理士のセンセイのまたセンセイという役割を
何年にもわたってやる羽目になったことがありました。


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2003年1月31日(金)

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