第1077回
ベンチャーには必ず基本があります

日経ビジネス誌の巻頭欄を見ていたら、
50才まで自分は一生サラリーマンで
送るものだとばかり思っていた技術者が突然、
独立をして新しいビジネスをはじめ、
上場会社を二つもつくった話が出ていました。

どうしてそんなことになったかというと、
「答えはきまっています。
自分がやりたいことを追求していったら、
起業する以外に方法はなかったんです」
とご本人もおっしゃっていましたが、
バブルの終ったあとの90年代に
それをスタートできたのは
その仕事が新分野の仕事であり、
「設備をベースとした競争」でなくて
「人材をベースとした競争」でやって行ける
性質のものだったからです。

もし大きな設備投資を必要とする製鉄とか、
自動車とか、石油化学のような事業なら、
いくら自分のやりたい仕事であったとしても、
恐らく独立してスタートすることはできなかったでしょう。
集積回路だとか、パソコンのソフトだとか、
前金をもらっただけで
何とかやりくりのできた仕事だったからこそ、
銀行からお金を貸してもらえなくとも、
ピンチを切りぬけて行けたのです。
ですから
「自分のやりたいこと、やるべきことを明確にし、
一歩一歩着実に前進していけば、
多少の計算違いがあってピンチに陥っても、
取るべく進路がなぜか見えてくるものです。
基本はあっても正解がないのがベンチャー」
というご本人の言葉はとても説得力がありました。

日本経済全体がピンチにおちいって、
設備産業も整理を余儀なくされている時代ですが
そのなかで仕事をやっている人のおかれた環境は
10年前もいまもそう変わりはないと思います。
いまは銀行が中小企業に対してそっぽを向いているので
起業はいよいよ難しいと言いますが、
銀行はいつの時代でも海の物とも山の物とも
わからない仕事に対しては
会社設立に必要な資本金払込み口座の開設にすら
拒否反応を示すものなのです。
そういう世間の冷たい風にもめげずに小さなスキマをくぐって
大きな道に出るのがベンチャーなのです。


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2003年2月20日(木)

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