第1080回
加工国は資源国の上に浮んだ船です

ちょうどいまから30年前に第一次石油ショックがありました。
バレルあたり2ドルだった石油が
一挙に12ドルにはねあがりました。
日本のようにエネルギーを全面的に輸入に依頼している国では
石油の代金を支払うだけで外貨を一年間で使い尽し、
次の年から寒空で日本国中がふるえあがるだろうと
新聞という新聞が書き立てました。

私はそういうことにはならないだろうと反論しました。
もしアラブの国々が石油を売って儲けた代金を
そのまま黄金の伸棒に換えて砂漠の砂の中に埋めてしまえば、
あるいはそういうことも起るかも知れない。
でもアラブの王様たちだって人間だし、
贅沢もしたいだろうし、アラブの人民たちのために、
海の水を淡水に変える装置もつくってあげたいだろうし、
病院や学校も建てたいと思うだろうと考えました。

そうなれば、石油を売って儲けたお金で
新しい設備を注文するでしょうし、
ロールスロイスやベンツの高級車だって欲しいでしょう。
これらの設備や工業製品は
エネルギーを使ってつくるものですから、
エネルギーが値上がりすればその上に上乗せした値段で
産油国に売り戻されることになります。
工業製品なんてエネルギーの上に浮んだ
船のようなものですから、
吃水線の上がった分だけ上に浮かび上がるものです。

もしそうだとしたら、アラブの産油国は
日本という壁に向ってテニスの練習をやっているようなもので、
強く打てば強く打った分だけ球は強くはねかえります。
「だから日本のような加工国は貧乏になることはありません」
と結論づけたのです。
ご承知のように石油の値上がりによって、
一年に人件費が35%も値上りしましたが、
その後、必死の省力化と省エネ化によって
日本は一段と工業製品を改良しただけでなく、
メイド・イン・ジャパンの名声を
全世界に轟かせるようになりました。
「艱難汝を玉にす」と言いますが、
ひどい目にはあわされたことが
日本を世界のトップを切る最先端工業国に
鍛えあげてくれたのです。
でも一度あることははたして二度あるものでしょうか。


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2003年2月23日(日)

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