第1105回
若さにしがみつきたい人がお客です

年寄りだっておしゃれはします。
というより年寄りの方がおしゃれをする必要に迫られます。
若い時は誰だって肌がきれいで、
その人なりに「番茶も出花です」
本当に美容が必要なのは、どう見ても美人と言えない人、
もしくは人間として「出し殻」になってからです。

ローマに旅行に行った時、ハスラーズ・ホテル・ド・メディチの
最上階に食事をとりにあがったら
ちょうどファッション・ショーを開催している最中でした。
ローマの選りすぐったモデル嬢たちが
次から次へと有名デザイナの新作を着て出て来ます。
ジッと見ていると、ワァッと拍手が起るのは
いつも何人かのモデルさんでした。
とびっきり目立つ別嬪のモデルさんが着ると
どんなデザインの服でもとびっきり素敵に見えるのです。
美人がファッションを引き立てるのであって
ファンションが着ている人を美人に見せるわけではないのです。

そんなことを言ったら商売として成り立たなくなります。
高価なドレスを買う人もいなくなってしまいます。
ですからニコニコしながら眺めておりましたが、
よく考えて見るとセント・ジョージなんて
ベラボーな値段がついている婦人服がよく売れるのも、
お金持ちで本当はそんな服が似合わない
中高年層のご婦人に的をしぼっているからです。
値札を見て思わず手を引っ込めたくなるような
高い値段がついていることも商売を成り立たせている
重要な要素の一つです。

ヤングのマーケットは一応開発し尽されていますが、
若さにしがみついていたい女性のファッションは
まだ充分に開発されているとは言えません。
サイズからして揃っていないし、
年齢や価格帯をしぼった専門化も進んでいません。
化粧品にしても、本当は中年になってから必要なものですが、
そんなことはどこにも書いていない化粧品ばかりです。
私は十何年来、顔のシミの出ないクリームを愛用していますが、
「アイテイ・エイジ・クリーム」と銘打っています。
高い値段がついていますが、
そうした出費に耐えられる人だけをお客しているようです。


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2003年3月20日(木)

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