第1109回
桂林・ベトナム旅行とも延期しましょう

老人マーケットの話をしているうちに、
私が八十代を前にした「老人の新人」として、
久しぶりに入院してしまいました。
夜中にトイレに行ったら、30年ぶりに猛烈な血便に見舞われ、
夜明けと共に順天堂医院に駆けつけて、
午前11時にはもう手術台の上に横になっていました。

30年前第一次石油ショックの勃発した直後に
似たような経験をしたことがございます。
国連を脱退した台湾政府に頼まれて
私が台湾で開発した工業団地に設置した生産工場が
石油の値上がりのために大赤字になり、
同時に6社も工場閉鎖に追い込まれた時のことです。
それぞれの社長を務めている者は真青になって
私のところへ駆け込んできますが、
私は駆け込む先がありません。
じっとこらえているうちに、
胃から血を出して20日ほど入院してしまいました。
安静を医者に厳命されましたが、
入院中に単行本1冊分、原稿を書いた記憶が残っています。

その後、人間ドックで出血を突き止められて
大腸ポリプを摘出したことがありましたので、
今回はてっきり大腸ポリプの再発と思ったのですが、
透視鏡でのぞくと大腸に異常はなく、
胃の入り口に二ヵ所、出血をしている患部が発見され、
その場で出血を止める処置をしていただきました。
次の週から成都、昆明への視察団の
団長をつとめることになっており、
すっかり準備ができあがっていたのに、
とうとう団長不在の視察団になってしまい、
とても心苦しい思いをしています。

12日間入院をし、体重が2キロ痩せて
19日にやっと家に戻ってきましたが、
翌日からイラクの戦争が始まってしまいました。
自分が病気になった上に、広東、香港、ベトナムにまたがって
得体のしれない肺炎が流行しはじめたと
香港、台湾の新聞は1ページ目のトップで報じています。
私は怖がらない方ですが、
やはり大事を取って4月末の桂林旅行、
5月末のベトナム旅行は
少し落ち着くまで無期延期ということにしましょう。
折角、お申込いただいた方には申し訳ありませんが、
どうか御了承下さい。


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2003年3月24日(月)

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