第1169回
死ぬ前の仕事がもう一つふえました

アメリカではブッシュ大統領が
景気の落ち込みにブレーキをかけるために、
大減税を議会に提案しています。
それに対して
「いくら何でも税金の負けすぎだ、
半分くらいにしたらどうだ」
と上院から注文をつけられています。

日本の景気の落ち込みは
アメリカよりもっとずっと長く続いているし、
財政赤字の深刻さもアメリカに劣りません。
それなのに、財務の健全化のために
銀行の持株を減らせと行政指導をするので、
株式市場は売り一色になってしまい、
ここのところ、新安値が続いてきました。
株価が安くなると、事業会社の資産も時価で評価しますから、
持株の多い会社ほど欠損がふえて
折角、本業で利益をあげても、
その分、儲けが減ってしまいます。
従って、国に払うお金も減って
政府の台所はいよいよ苦しくなり、
どこかで新しい税源を
開発する必要を迫られることになります。

そこで先ず税務調査をきびしくして、
とれそうなところからとる営業方針が打ち出されました。
一流商社が税金の追徴をされたり、
鉄道のような公共性の強い事業まで
申告漏れをしたといって追求されています。
当然、追手は中小企業にまで及び、
いくらかでも余裕のありそうな家族会社は
軒並み徳川時代の百姓のような目にあっています。

それでも問題が片づくわけではありませんから、
あまり抵抗のなさそうなところから
増税の火の手が次々とあがっています。
たとえば遺産税は長い年月をかけて
やっと減税に辿りついたかと思ったら、
早くも増税の有力候補に上がっています。
昔から「死人に口なし」と言って、
財産の持主はもう死んでこの世にいないし、
貰う方は基本的に不労所得ですから、
「嫌なら貰うな」と一喝されれば、
おとなしく引き下がるよりほかありません。
「遺産税はとりやすい税金です」
と昔、国税庁のお偉方からきいたことがりますが、
払う側にして見れば、
死んでからでは間に合いませんから、
生きているうちにやらなければならない仕事が
もう一つふえたことになります。


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2003年5月23日(金)

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