第1173回
税金は取りやすいところから取るものです

「税金は取りやすいところから取る」
という原則があります。
さきに述べた遺産税の引き上げがすぐ話題になったのも、
財産を遺した本人が既に死んでいて
文句を言う人が不在だからです。
その点、所得税でも法人税でも、
どこかいじろうとするとすぐに猛反対にあいます。

景気が悪い上に月給の下がり気味の時に
所得税率を引き上げることなどとてもできません。
税収をふやす目的なら
大衆課税をするよりほかありませんが、
そうなると先進諸国に比べて
高水準にある免税点を引き下げて
いままで税金を払わないですんだ低所得者に
課税することになります。
これまでも度々そうした意味合いの
アドバルンをあげてきましたが、
一向に実現する気配がないのは、
そんなことをすればたちまち落選に追い込まれることを
政治家たちは熟知しているからです。

また法人税率をあげることも、この不況のなかで
とても経済団体の同意を得ることができません。
ただでさえ外国に比べて法人税率の高い日本で、
税率をあげようものなら、
外国企業が来なくなるだけではなくて、
日本企業がもっと税率の低い国に
逃げ出してしまいます。
日立や東芝やソニーのような日本を代表する大企業が
本社機構をもっと税率の安い国に引越すことになったら、
日本国中が大騒ぎになってしまいます。
しかし、そこまで行かなくとも、
経済団体に反対されたら、
法人税をいじることなどできるわけがありません。
政治家たちの選挙資金のパイプは
経済団体に握られているのですから、
その顔色を見ただけで増税の話は
尻つぼみになってしまいます。

結局、「税金は取りやすいところから取る」
という原則に戻ってしまいます。
するとあとは消費税の増税以外に
いい知恵は浮かんできません。
消費税は消費をしない人にはかかって来ないのですから、
反対がそんなに強くはありません。
従って最終的には消費税の増税に落着くでしょうが、
消費税がふえれば消費を控える人がふえますから、
消費はもっと落ち込みます。
消費税もまた始末の悪い税金です。


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2003年5月27日(火)

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