第1211回
ナイトクラブより老人ホーム

新しい開発が新規の需要を生み出し、
それが開発した人や企業に
新しい価値観をもたらすのが一番の理想です。
高度成長時代の日本の工業生産は
そうした形で軌道に乗り、
日本人に大きな富をもたらしました。

新しい開発の中には古い物と入れかわる物もあれば、
人から商売を奪う物もありました。
ビジネスホテルが誕生すれば、
旅人宿は店じまいするよりほかなかったし、
ワンルーム・マンションができれば、
下宿屋は姿を消すよりほかありませんでした。
日本でアメリカより安くて
上質の繊維製品や雑貨をつくってアメリカに輸出すれば、
アメリカの同業者は物をつくるのをやめて
流通だけで生き残ることを考えるよりほかありません。
いま日本と中国との間で
かつてアメリカと日本との間で起ったような
選手交替が起っていますから、
日本としては自国より
安いコストで生産のできる地域に
工場を移転して生産するか、
それらの国の人に生産を委託して、
自分たちは販売ルートをしっかり守るよりほかなくなります。
そうなっても流通過程の付加価値が
生産過程の付加価値より高いのが普通ですから、
メシの食い上げになる心配はあまりないのです。

日本がいままで享受してきた付加価値のうち
生産から生まれる部分の大半が
海外に移ってしまいますから、
いつまでもそこに固執していると、
倒産したり失業したりしてしまいます。
日本に残るのは流通業とサービス業で、
それにお金を払ってくれる人は
若い人より年をとった人の方が多いことは誰でも知っています。
年寄りは数がますますふえるだけでなく、
年寄りの方がお金を持っていますから、
嫌でも年寄り相手の商売をやらなければやって行けません。

カナダでは年寄りの国際電話料金は
特別割引になっています。
話のテンポが遅い上に、くりかえしが多くて、
しかもお金を使いたがらないと来ていますから、
そのくらいの優遇をしないと
年寄りに国際電話をかけてもらうことはできないでしょう。
老人マーケットの開発は
まだやっと入口にさしかかったところです。


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2003年7月4日(金)

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