第1311回
体験産業は浮沈の激しい大産業です

物を売る商売よりも
体験を売る商売の時代です。
「きょうの料理は本当においしかった」
「こんなに楽しい旅行なら、もう一度行きたいなあ」
といった食事や旅行や娯楽を提供する商売に
私が体験産業という名前をつけたのは
40年も前のことでした。
あの頃は体験産業と言われても
何のことだかさっぱりわからず、
目をパチクリさせる人が大半でした。

いまなら誰でもすぐにわかってくれます。
相撲にしても、野球にしても、ゴルフにしても
見るだけで時間潰しになるエンターテイメントもあれば、
自分でやならいと気がすまない娯楽もあります。
ディズニーランドもカラオケも
みんな楽しみを売る商売で、
お土産を買って帰るのは
記念にするか、家で待っている人たちに対する
申し訳みたいなものです。

体験産業は大産業になりましたが、
人が動いてないと商売になりません。
人の動きをとめるような大事件が起ると
大混乱におちいったり、
ピンチにおちいったりします。
SARSやイラク戦争が何よりの好例で
身の安全にかかわるとなると、
途端に航空会社もホテルもガラ空きになって
商売が成り立たなくなってしまいます。

しかし、喉元通れば熱きを忘れるのが
人の世のならいですから、
しばらくすると、砂の中にかくれた蟹が
1匹また2匹と浜辺に這い出してくるように、
商売はまた元へ戻ります。
香港のように、日本や台湾の人が
不景気で顔を見せなくなっても、
高度成長でふところの豊かになった大陸から
次々と観光客が押し寄せて、
ホテルの部屋不足を心配した香港政府が
空家になったマンションの転用を許可するしないで
既存のホテル業者と大もめにもめています。
体験産業は浮沈は激しいけれども
もっともっと盛んになることはあっても
斜陽化する商売ではありません。

その代わりたとえ一見さんばかりでも
観光客の好みによって
観光商売のスタイルが一変してしまいます。
丸ビルや六本木ヒルズ・タワーのお客の流れが
私たちに教えてくれている通りです。


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2003年10月12日(日)

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