第1349回
平価切り上げの前に資産インフレあり

人民元の切り上げに対して中国政府は
かなり抵抗する姿勢を見せています。
現行レートを維持する方が
輸出に有利に働くと見ているからです。
でもこのまま頑張り通すことは難しいと思います。
アメリカやユーローや日本からの圧力が
一そう激しくなるから、ということではありません。
外貨の貯まる圧力に
中国政府が耐えきれなくなるからです。

いまのままの状態が続いたら、
中国に1年で1000億ドルの外貨が貯まります。
ということは、人民銀行は
1日に3億ドルずつドルを買いあげて
それに相当する人民元を
発行しなければならないということです。
貯まった外貨は運用しなければなりませんから、
そのお金でアメリカの国債を買ったり、
ユーローに換えてヨーロッパ諸国の国債を買うことになります。
結果として中国がアメリカ政府を支えることになり、
利息はもらうけれど、
ドルが目減りして逆に人民元が強くなったら、
元金が大きく目減りをする目にあわされます。

その一方で、1日に3億ドル相当の人民元を
増刷し続けなければなりませんから、
国内は人民元の洪水になって
資産インフレをまき起します。
政府がそれを見越して、
預金の準備率を引き上げたりしていますが、
何らかの形で出超にブレーキをかけない限り、
過剰流動性をとめることはできません。

人民に外貨を使わせるために、
海外旅行の制限をゆるめたり、
中国の企業が海外投資をすることを
奨励するだろうことが考えられますが、
その程度の対策では日本で起ったのと同じ事が
中国で起ることを防げなくなるのです。
最終的には人民元切り上げのゴールに
達するよりほかありませんが、
そこ至るまでの過程で金あまりのために、
株と土地の値上がりが避けられなくなります。
既に安いとは言えない水準にある株価を
更に押し上げる力が働くので、
株も更に一段高になるし、
不動産にもきっと大きな変化が起るでしょう。
平価の切り上げは必らず後廻わしになるので、
その前哨戦として
資産インフレが起ると見ていいと思います。


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