第1363回
家を建てる時は建築家の実験台になるな

「いい家が欲しい」という建築家の書いた本が
ベスト・セラーズになったのをきっかけに、
それに反論する本も次々と現われたり、
自分が住んでいる家を見直したり、
今度、家を建て直す時はどうしようという関心が
俄かに高くなってきました。

私もすぐ本を買って読みましたが、
建築家が関心を持っている家の構造や維持費と、
家を建てて住む人の関心事には
少しズレがあるようです。
冷暖房の効率がよいかどうか、
実際に住むようになってからの経費が
あまり負担にならないですむためには
どうしたらよいかはむろん、大切なことです。
でも、住む身にとって一番大切なことは
何と言っても住み心地がよいかどうかでしょう。
次にふんだんに予算があれば別ですが、
どうやって建築費の予算を
オーバーしない範囲に
おさめることができるかでしょう。

普通の人にとって
自分の家を建てる仕事は
一生に1ぺんあるか、2へんあるかという
生涯の大事業ですが、
昨今は生まれ故郷を離れて生活する人が多くなったし、
グローバル化がすすむと
外国に住む人もふえます。
私は生まれ故郷から脱出して
亡命生活を送っただけでなく、
東京に住んでからも5回も引越しをしましたし、
新しく家を建てたのが2回、
別荘を建てたのが2回、
ほかに台北、香港、北京、上海と家を構えていますので、
絶えず住む家を建てたり、
インテリアからやりなおすのをくりかえしています。

それで智恵がついて、
快適な家に住んでいるかというと、
いつも不平不満と同居しています。
土地から買って建築家と相談しながら図面を書いてもらって
家を建てたことが4回ありますが、
1回もうまく行った試めしはありません。
毎回、同じ建築家でないこともありますが、
建築家は生活者でなく、
自分が住んだことのない家の図面を書いているからです。
建築家の美的感覚の犠牲になるなと
書いたことがありますが、
いま住んでいる東京の家だって
朝晩カーテンの開閉をする時に
その思いを新たにしています。


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