第1439回
商品ケースを見れば文化の厚みがわかります

文化の厚みは着ている服とか、
乗っている自動車だけではわかりません。
中国人の着ている物はここ数年で
見違えるほど立派なものになりました。
また、上海の高速道路にも
世界の高級車が走るようになっています。
でもそれだけで文化の水準がきまるものではありません。
中国には昔々から
「読書人」と呼ばれるインテリ階級があって、
その人たちの知識も生活も
その時代としては
世界のトップにランクされる水準にありましたが、
大衆のそれとはかなりかけ離れていました。
いま私たちが問題としているのは
特権階級の文化水準ではなくて、
道で行き交う人たちの知識と生活のレベルです。

たとえば、上海に住む人たちが朝食にパンを食べるか、
それともお粥にするかはその人たちの勝手です。
パンだから先進的で、
お粥だから立ち遅れているなどと言うことはありません。
しかし、欧化がすすむ時流の中で、
パンを食べる人がふえることは
予想のできることです。
現に上海のデパートに行ったら、
ナイフ、フォークも売っていますし、
コーヒーわかしもコーヒー豆も売っています。
しかし、パンもまずいし、ケーキもまずいし、
何よりも所得水準に比べて値段が高すぎます。
人々が朝食にパンを食べるようになるまでに
まだかなり時間がかかることがわかります。

デパートに行けば、
ナイフやフォークも売っています。
コーヒー茶碗も卵焼きをのせるお皿も中国製で
気のきいたデザインの物が
そんなに高くない値段で出まわるようになりました。

しかし、もう少し上等のナイフやフォークが欲しいとなると、
どこにも見当りません。
私は自分の趣味で、
東京ではジョージ・ジャンセンの銀製のナイフやフォークを、
また香港ではクリストフルのそれを使っていますが、
どうしてもそういうものを使いたいと思ったら、
すべて東京か香港から持って行かなければならないのです。
そういう目に見えないところが
同じ水準に追いつくまでには
まだ相当時間がかかるということです。
「ローマは一日にしてならず」と言いますが、
中国の近代化もまだまだ時間がかかります。


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