第1456回
州島に行ったら華僑の歴史がわかる

州島の媽祖の総本山に行った時、
文化大革命で焼け落とされた本殿は
海の商売でメシを食っている
世界中の華僑たちの義捐金で
立派な建物になっていましたが、
一つ驚いたことがあります。
それは媽祖の両腕とも言うべき
千里眼と順風耳が
媽祖の右左から引き離されて、
階段下の仁王様を祭る別棟に
安置されていたことです。

もう情報伝達の技術が進歩して
千里眼、順風耳は要らなくなったのだ、
いきなりクビにしないで
門番に残しているだけでも有難いと思えと言うなら、
そもそも媽祖さまも
隠退だということになってしまいます。
私は「宗教は阿片」じゃなくて、
「人類の辿ってきた生活様式のシンボル」
と思っていますので、
コンピュータの時代になっても、
千里眼、順風耳も、また孫悟空や猪八戒も
人間の願望を代表するシンボルとして
長く人々の心の中に生き続けるだろうと見ています。

もしそうだとしたら
媽祖がその権威を失わないためには、
千里眼、順風耳は
すぐ手元においておかなければなりません。
目に見える景色の向うが見え、
万人にすぐれた早耳でなければ、
衆にすぐれた行動がとれるわけもないのです。
媽祖に超人的能力があっても、
媽祖の露払いをする運営委員会の面々は
思慮の足りない連中の集まりだなと、
その時、思いました。
10年ぶりに州島を訪問するにあたって、
千里眼、順風耳を
その能力の発揮できる元の位置に
復職させてあげられないものかと
いま眞剣に考えているところです。

東南アジアで華僑たちが
どういう生き方をしてきたかを知りたかったら、
媽祖の総本山を見ればわかります。
人々の心の中にあるものは外からは見えませんが、
人々の行動を支配します。
私が「これであなたも中国通」という本を書いたのも、
行動の根底にある中国人の思想を
理解する必要があると考えたからです。
媽祖廟なんかアジアの開発と関係ない
と思うかも知れませんが、
一ぺんごらんになることをおすすめします。


←前回記事へ 2004年3月5日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ