第1520回
値切りには哲学と要領があります

俗に「名古屋の三値切り」と言って、
日本人の中で一番よく値切るのは
名古屋の人だと言われています。
名古屋の人はふところ勘定がしっかりしているので、
物を安く買おうとしますが、
それだけ倒産件数も少くてすんでいるようです。

物をよく値切る人は、その分、
支払いも少くてすんでいますが、
値切りの哲学も持っています。
ケチだと言って嫌われますが、
人に迷惑をかけることはあまりありません。
生活の万般にわたって
そういう姿勢をつらぬいているので、
少いお金で用の足せる要領も心得ています。
値切りが習慣になると、
値切った値段で物を手に入れることは
誰でも知っています。
たとえば1万円のものを7千円に値切っても
7千円で手に入ることは先ずありません。
うまく行って8千円、
大抵は9千円か8千5百円になってしまいます。
したがって
もし7千円で手に入れたいと考えているのなら、
少くとも5千円から値切ってかからないと
目的を達することはできません。

「半値、八掛け、一割引」とは
1万円を先ず5千円と値切る、
次に物を届けていたら、
またその八掛けに値切って見る、
それで4千円になったら、
お金を払う段になった時にもう1割値切って
3千6百円にしてしまう。
つまり1万円の物を
3千6百円で手に入れることを言います。
逆に言えば、3千6百円で仕入れてきた物を
1万円で売ることができたら
万万才だということにもなります。

私は32年前に
台湾の政府と妥協して台湾へ戻った時、
私の運転手に中国人の値切りの哲学と
その要領について説明したことがあります。
よほど印象に残ったと見えて、
その後、独立して
いまでは一角の実業人になっていますが、
「僕の商売の原則になっています」
と会うごとに私に言います。
値切る人ならみんな知っている筈のことなのに、
いきなり半分に値切るのは
さすがにがめつきすぎると
うしろめたさを感ずる人が多いのかも知れません。
それでも言い値の半分には
安いという実感があることも事実です。


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