第1521回
半値でつくるのがさしあたりの目標です

「利は元にあり」と言って、
しっかりお金を儲けるためには
物を安く仕入れるか、
安くつくることが必要です。
いま業績がよくて株価の高いイオンとか、
イトーヨーカ堂とか言った物流業者は
みなこの主旨にもとづいて物を仕入れています。
立場をかえて言えば、
これらのスーパーに製品を納入しているメーカーは
ギリギリのところまで値切られますから、
よほどのブランド商品でない限り、
そんなにいい目にはあっていません。

物が不足してつくる方が
優位に立っていた頃は
メーカーの方が威張っていました。
士農工商と言って、
商人は見下げられた存在だったのです。
でもこれだけ産業界に生産力がつき、
買ってくれる人がいれば、
いくらでも物が供給できるようになると、
物を売る力のある人が
物をつくる人より大きな顔ができます。
物は安い方がよく売れるし、
安くつくるのはメーカーの仕事ですから、
一番苦しい立場におかれるのは逆転して
メーカーということになってしまいました。

消費者が日本国内にいる限り
物が売れなくなる心配はありません。
ディーラーはライバルとの競争に
打ち勝つことさえできればいいのですから、
良い商品を安く仕入れることに
全精神を集中します。
メーカーは良い商品を
より安く作ることを要求されますから、
国内に居られなくなって
生産基地をコストの安い地域に
移さざるを得なくなります。
なかでも一番強く要求されているのは
安いということですから、
メーカーの立場はいよいよ苦しくなります。
どのくらい安くないと駄目かと言いますと、
1割や2割ではそうした実感はありません。
値切る時も半値からはじまりますが、
消費者が安いなあと実感するのも
実は半値なんです。

したがって産業界で生き残るための目標は
コストの半減ということになります。
この条件を充たそうと思えば、
年功序列給も終身雇用制も
みんな成り立たなくなってしまいます。
日本的経営そのものが崩壊寸前にあるのです。


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