第1555回
書の内容と額の大きさに新機軸を

中国旅行に団体で参加すると、
誰でも否応なしにお土産物屋に連れて行かれます。
お土産屋で売っている物は
どれもこれも似たり寄ったりで、
買いたくなるようなものはほとんどありません。
書の好きな人でも、
お土産屋にかかっている掛軸には
全く心を動かされません。

先ず日本の住宅は
床の間がなくなってしまったというのに、
床の間にしか掛けられないような
大きな掛軸しか売っていません。
帰る飛行場の中で時々、
掛軸を担いでいる人の姿を見かけますが、
恐らくそのまま押し入れの中に
しまいこんでしまうのがオチでしょう。
また書いてある文句も、
字体が気に入らないことはともかくとしても、
わけのわからないことが
長々と書かれてあって、
うっかりすると漢文の時代に育った世代にも
うまく読めません。
たまに読める文章に出会っても、
「月落ち鳥啼いて」とか、
「少年老い易く学成り難し」とか、
誰でも知っているような文句にぶっつかるのがやっとです。
なるほどこの金言の通りだ、
この教訓をケンケンフクヨウしなくっちゃ
という名文句にお目にかかることは先ずありません。

こうなったら、
金言名言は先ず自分で集めてくる、
場合によっては自分でつくる。
それを中国の有名な書家に書いてもらう。
但し、できるだけ短い文章で、
日本人が読んでもすぐに内容がわかる内容であること。
それを四帖半か六帖の部屋に掛けても
大きすぎない寸法の額に入れる。
そう考えて何十枚か書いてもらって
東京に戻る時少しずつ家に持って帰って、
書に興味のある同好の友人たちに進呈したところ、
次に訪ねて行くと
ちゃんと社長室や書斎に掛けてあるのを見て、
私もいい気分になりました。

喜んだのは私だけではありません。
時代の変化によって
若い人たちからふりむかれもされなくなって、
字を書いてもメシの食えなくなった中国の書家たちに
メシを腹一杯食べさせることはできなくとも、
お粥くらいはすすらせてあげることが
できるようになったからです。
皆さんの中にも
私のこの試みを手伝って下さる方はいませんか。


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