第1564回
本格的な消費ブームがはじまったのです

同じことがかつての台湾でも起りました。
私が30年前に国民政府と妥協して、
生まれ故郷の台湾に帰った時、
台北の平均賃金は1000元でした。
1000元だと、台北に出稼ぎに来た女の子は
家に仕送りをして、
自分らの食事代を払うと、
いくらも手元に残りませんでした。
しかし、1000元から3000元まで
年々サラリーがふえて行くようになると、
家への仕送りも食費もほぼ同額ですから、
自分で使えるお金が急激にふえます。
化粧品や衣服など
おしゃれのためにお金が使えるようになったので
そういうお店が雨後の筍のようにふえはじめました。
自転車で通勤していたのが
オートバイにかわりました。
やがてそれに続いて
マイホームを買う動きも出てきましたし、
マイカーの時代もやってきました。

でもそこに至るまでの間に、
家電製品や建築だけでなく
それに使う素材が不足を起しますから、
プラスチックやセメントや
ガラスや鉄鋼への投資がふえます。
台湾でも同じように、
最終消費材だけでなく、
素材産業の開発がすすみました。
ただ人口2000万の台湾と
13億の中国大陸では
スケールが違いますから、
今日の中国大陸で起っているような
目立った動きではありません。

その点、中国では家電製品でも
自動車でもマイホームでも、
全国的に消費ブームが起ると、
鉄鋼、石油製品、セメントに至るまで
バイバイ・ゲームで需要がふえるので、
設備投資が一挙にはじまります。
それでも製品になって出てくるまでに
2年や3年はかかってしまいますから、
さしあたり不足分を
日本や台湾から買うようになり、
それが素材の値上がりをひき起し、
日本の素材メーカーの株価を
押し上げる結果になりました。
人民銀行は設備投資を抑え込めば、
必要な原料が製品になって
市場に出てくるのが遅れますから、
素材メーカーの生命を伸ばすことになりますが、
値上がりした素材の価格を
引きずりおろすことにはならないでしょう。
ましてや盛り上がった消費ブームを冷やすことは
できないと思います。


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