第1569回
中国の投資ブームはバブルではありません

金融引締めのことを中国語では
宏観調控と言います。
「マクロ的に見て調整をする」というほどの意味ですが、
要するに過熱状態になった景気に
ブレーキをかけることですから、
実際にやることは公定歩合を上げるとか、
預貸準備率を引き上げるとか、
銀行の貸付けにきびしい制限を設けて
企業が自分たちの見込みで
設備投資にお金を使うことに
待ったをかけることです。

いま一番中国で値上がりの激しいものは、
鉄鋼、アルミ、石炭、石油製品、セメント、
それに不動産です。
いずれも輸出と国内消費が
ふえたことから起った素材の不足と
それにこたえるための
増産ブームがもたらしたものです。
素材に対する需要がふえると、
お金が儲かるようになりますから、
どのメーカーも増産体制に入ります。
すると原料になる鉄鉱石や
石炭を運ぶ船まで足りなくなりますから、
運賃も値上がりしますし、
原料そのものも値上がりします。
設備投資を抑えにかからないと、
インフレになる心配があると
プロの人たちは言いますが、
消費を抑えないで、生産だけ抑えにかかると
逆効果になることも考えられます。
最終消費財に対する旺盛な需要があるのに、
(もしくは輸出はふえる方向にあるのに)
供給がそれに追いつかなくなってしまうからです。

狂乱物価というほどでなくとも、
鉄鋼や石油の値上がりが激しいと、
かつて日本で起ったバブルを人はすぐにも連想します。
中国の政策担当者たちは
かつて日本で起ったことをよく研究していますから、
1989年、株価が天井を打った時と
同じことが起っているのではないかと
気をもんでいますが、
いまの中国経済は
バブルがはじける直前の日本経済の段階にまでは
まだ届いていません。
対外貿易の黒字基調がアメリカの不興を買って
ニクソン・ショックで一杯食わされた頃、
つまり高度成長の過程で
リセッションにあった状態と見た方が正しいでしょう。
中国がバブルの洗礼を受けるまでには
恐らくまだ10年か、それ以上の歳月が必要ですから、
そのへんの判断を誤らないことは大切ですが、
この時点で、へっぴり腰になることはないというのが
私の見方です。


←前回記事へ 2004年6月26日(土) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ