第1598回
原料高の製品安なら考えられます

生産量だけで言えば、
中国の年間の鉄鋼の生産量は
日本を超えました。
でもそれは鉄筋コンクリートの丸棒も含めての話で、
自動車の車体に使う鋼板とか、
もっと高度の技術を要する特殊鋼は
まだまだ日本には遠く及びません。
いまヨーロッパと日本の技術を取り入れるべく、
中国でも共同出資で
合弁会社をつくりにかかっていますから、
いつの日か、中国の自動車ブームを
こなすだけの技術力を
中国が持つ時代が来ることは考えられます。

でもそこに至るまでに
まだまだ時間がかかるでしょうし、
そこに至るまでが
企業の稼ぎ時であるということもできます。
いま中国で過剰と呼ばれるような
投資ブームが起っていますが、
建築用の丸棒のような素材は
すぐにも生産過剰になることが考えられるとしても、
高度の技術を要する分野では
まだまだ好況が続きます。
但し、鋼板そのものの大口需要者である
自動車メーカーや家電メーカーには
過当競争による淘汰が避けられないでしょうから、
素材メーカーだけが安泰である保証は
何もありません。

同じことが他の素材にも言えますし、
石炭や石油や鉱石業者についても言えます。
したがって行きすぎにブレーキがかかることは
避けられませんが、
中国に世界中の資本が集まって
生産に拍車がかかるとなると、
中国にコスト・インフレが起らない限り、
工業製品のデフレ傾向がとまる可能性は
大きくはありません。
アメリカで景気が恢復するかに見えて、
なかなか本調子にならないのは、
アメリカが工業製品の輸入国になってしまったからで、
ドルが安くなれば、
もっと安く仕入れることが要求されますから、
中国からの供給にストップがかかることは
あまり考えられません。

同じことが対日輸出についても起りますから、
デフレ傾向に歯止めがかかることは
今後もありそうにありません。
あるとすれば原料高ですが、
これはコスト高の製品安として
どのメーカーもが悩まされる
次の時代の大きな流れになるのではないでしょうか。


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