第1597回
台湾の株価が立ち直ったわけ

アメリカのIT産業の重要なパーツは
ほとんど台湾が供給してきました。
アメリカではパーツのコストダウンに対する要求が
シビアなので、
その要求にこたえるために、
この5、6年の間に、
台湾のパーツ・メーカーの恐らく9割方が
生産基地を大陸に移しました。
台湾からアメリカ向けに輸出していたのが
中国からと進路を変えたので、
中国の対米輸出が一段と上昇するようになったのです。

むろん、中国国内におけるパソコンの普及にも
加速度がついています。
すると、パソコンに何百万台という増産がかかってきます。
一見、何でもないようですが、
パソコンのケース1つつくるのにも、
その材料になる鋼板は中国にはないし、
つくる技術もありません。
日本にはありますが、日本製では割高ですから、
ケースの供給を台湾の加工メーカーに
注文するようになります。
すると、いままで過剰生産で不況をかこっていた
台湾の鋼板加工業者に
百万個単位の注文が舞い込んできます。
台湾のオールド・エコノミーは
もう駄目だといって株価が額面を割っていたのが
急に息を吹きかえして
株価が3倍にもはねあがります。
これらの業者は、台湾でつくっていたのでは
コストがあわないので、
原材料を運んで納入先の工場の近辺で
生産をするようになります。
その影響は台湾の鉄鋼メーカーにまで及びますから、
製鉄メーカーだけでなく、
その下請加工をしている業者に至るまで
見る見る業績を恢復します。
対米輸出は減りますが、
対中輸出がそれをカバーしてあまりあるので、
台湾企業の株価は上昇し
台湾の経済が好調に推移しているかのように見えます。
でも実際は、完成品を組み立てて行く過程で、
中国大陸でまだ生産のできない素材と技術を
台湾から供給していることから起っている好況であって、
それがいつまでも続くかは、
業種によっても違うし、
また中国国内でその供給が
いつからできるようになるかによっても違ってきます。
これから日本のメーカーに起るであろうことも
これに似ていると思えば
わかりやすいのではないでしょうか。


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