第1632回
日本の給料なんか頭から追っ払え

ふだん日本に住んでいる人は
どうしても日本の基準で物を考えます。
よその国に行った場合も、
家賃や物価やサラリーをいちいち日本円になおして、
安いとか高いとか判断します。
でもそこの国に住んでいる人は、
そこの国でもらった収入で暮らしているのですから
そこの国の収入と生活費を比べて
安いか高いかときめるのが本当でしょうね。

かつて日本のサラリーは
アメリカに比べてうんと低かったことがありました。
その頃は日本のサラリーをもらって
アメリカでは暮らせないと
こぼす人をよく見かけました。
アメリカに派遣された日本人は
日本でもらうサラリーのほかに
現地手当を支給してもらうのが常識でした。
この習慣はいまも残っていますが、
いまは為替レートで換算すると
日本でもらうサラリーの方が
多いということが珍しくありませんから、
本当は現地手当など廃止しても
少しもおかしくないと思います。
しかし、賃金カットは
どこの企業もやりたがらないので、
派遣社員をなるべく減らして
同じ日本人を雇う場合も
現地採用に切り替えています。

中国とか東南アジアとか、
生活レベルが日本より低い国への派遣は、
これと違って生活費はうんと安くなるのですが、
環境や治安の悪いところに行くのですから、
その補いをする意味で、
本給のほかに現地手当をつける会社が多いようです。
したがってコストダウンのために企業進出をするのに
逆に高い人件費を払うことになって、
将来、現地の同業者と競争する時に
不利な立場に追い込まれる心配があります。

しかし、それよりもっと問題なのは、
現地に乗り込んで仕事をはじめる日本人が
そうした給与水準を基準にして物を考えたら、
何もできなくなってしまうということです。
現地で仕事をする場合は、
現地の一般の給与水準で判断すべきで、
日本のサラリーなど
頭から追っ払ってしまわなければなりません。
それを承知でスタートした人だけが
現地で創業して成功できるのです。
高い給料から出発したのでは
却って出世の妨げになります。


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