第1691回
資源不足と過剰生産が時代の新潮流に

ここのところ、
産業界はずっとデフレで痛めつけられてきましたが、
どうやら潮の流れに変調が起ってきたようです。
気の早い人は石油や鉄の値上がりを見て、
すわインフレの再来かと
早とちりするかも知れませんが、
潮の流れも波の動きももう少し複雑で、
デフレとインフレがぶっつかりあって、
双方絡みあった、
説明のしにくいものになると
いまの私は見ています。

私が昨年4月号のVOICE誌で
「石油は50ドルになるかも」という一文を書いた時は
アメリカがイラクを
軍事的に屈服させることができたとしても、
泥沼に足を突っ込んだことに変わりはなく、
石油の供給は
アメリカの思惑通りには恢復しないだろうということと、
中国の石油に対する需要が急速に増加して
需給のバランスに大きな変化をまき起すだろうことが
私の頭の中にあったからです。

どちらともその通りのことが起っているので
間違いではなかったと思いますが、
それに加えて、ソ連の石油供給に赤信号が出てきたので、
石油相場が一挙に投機の対象になってしまいました。
こうなると、投機熱はそう簡単にはおさまりませんから、
第三次石油ショックは
避けられなくなるかも知れません。
ただ今回の値上がりは石油だけでなく、
地球上の全資源に波及して起っていますから、
いままで考えられなかったことが
産業界全体に起ろうとしていると見た方が
正しいように思います。

一口で言えば、膨大な人口を抱える中国、
続いて印度の工業化が進み、
人口20億をこえる地域で生活のレベルが上がったら、
資源不足(食料を含む)が
人類最大の問題になるだろうということです。
その一方で工業の生産性が
かつてないほど進んでいますから、
供給が需要をオーバーする潜在的デフレが定着して
工業生産による付加価値は
下押しになるのではないかということです。
資源不足と過剰生産による付加価値の削減が
新しい時代の潮流になるとすれば
産業界の地図は大きく変わらざるを得なくなります。
まだ世間はそういう具合には考えていませんが、
既にその徴候が
見えかくれするところまで来ていることは確かです。


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