第1765回
ミシュランの重圧で自殺した人もあります

ミシュランで
三つ星から二つ星におろされることをおそれて、
その重圧に耐えかねて自殺した人に
ベルナール・ロワゾーという人がいます。
ブルゴーニュのソーリユにある
「ラ・コート・ドール」のオーナー・シェフで、
私もその名声をきいて
わざわざ泊りがけで出かけて行ったことがあります。
日本のフランス料理人の間では
大へん高く評価されている人で、
カエルの料理で有名になった経歴を持っていますが、
私が行った時は既にかなり衰えが見えていて、
噂ほどではないという印象を受けて帰ってきました。

人間は誰だって人生の絶頂期に達するときがあり、
それを超えると少しずつ下降線を辿ります。
スポーツ選手だって、歌手だって、
あるいは作家や画家にだって例外はございません。
それを気にしたら三島由紀夫さんのように
自殺をするよりほかありません。
コート・ドールのベルナール・ロワゾーさんが
そうした恐怖に曝されたのは、
ミシュランで三つ星のレストランを
二つ星に下げる時は本人にその旨
予め警告をするしきたりがあって、
恐らく事前に通告をされていたのではないかと思います。

ご本人は近頃のフランス料理業界に
見るに見かねる不満を持っていて、
死ぬ少し前に
「お客はレストランにカーテンを食いに来るのか」
という有名な文句を残していますが、
自殺したおかげが、
それとも自分の考えすぎにすぎなかったのか、
ともかく、三つ星は取り消されませんでした。

こうした事件を引き起すほど、
ミシュランの星は
料理業界に大きな影響力を持っていますが、
それというのもミシュランの調査員は
日本の食味評論家たちと違って、
レストランの調査に行く時も一切正体を現わさず、
また特別歓迎されたり、
贈り物をされることも拒否して、
公平を期すことに全力を注いできたからです。
しかし、そうした秘密主義取材の時代も
終ろうとしています。
ミシュランの調査員をしていた人が
自分たちのやり方を本にして出版したのです。


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