第1766回
裏ミシュランもなかなか面白いですよ

ミシュランのガイドブックで
調査員を16年間、勤めた人が
カーテンの向うにかくれてやってきたことを本に書いて、
ミシュランの編集部と訴訟沙汰になっていることは
風の噂できいていました。
何十年も秘密主義で貫いてきたことを
明るみに曝されたのですから、
雇っていた側が怒るのは当り前だけど、
それを知ったミシュランの愛読者の間で
物議をかもしているのも予想のできることです。

昨年の暮れに
このパスカル・レミという人の書いた
「裏ミシュラン」という本が翻訳されて
バジリコという出版社から出版されました。
(定価1300円+税)
本屋の店頭で見かけたので、すぐに買って、
その晩のうちに午前4時までかかって読み終わりました。
もう30何年もミシュランのお世話になって
何十回となくヨーロッパ旅行をしているので、
かねてから疑問に思っていた項を知りたいと思って、
ドンドンひきこまれて行ったのです。

はじめからおしまいまで通読して見て、
この著者がミシュランに敵意を持って
書いたものでないことは
すぐにわかりました。
したがってミシュラン側が
腹を立てるほどの内容でもありません。
いままで秘密主義で貫いてきたことを
白日に曝されたことが
気に食わないというだけのことで、
ミシュランにとっても
実害のない内容だと思いました。

ミシュランの読者なら
ミシュランの星のつけ方とか、
星をつける根拠になっている調査の仕方を知りたいと
誰でも思うでしょう。
日本にはまだミシュランに匹敵するだけの権威を持った
食べ物のガイドブックはありませんし、
将来も出版する可能性はないかも知れません。
日本の食味評論家は、
正体を見せないどころか、
シェフの人たちとツーカーの仲になって
お店でも特別扱いをしてもらうことに
誇りを感じている人が多いからです。
そういう人たちと比べるためにも、
ミシュランの裏方の書いた本を
ごらんになって見るだけの値打ちはあると思います。


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