第1803回
値段とワイロの掛け引きは日本人に任せられない

日本人に任せることのできない仕事に、
値段とワイロの掛け引きというのがあります。
値段の掛け引きとは、
たとえば、工場の見積もりが出た時、
どこまで値切ってどこで手を打ったらいいのか、
またコーヒー豆の仕入れをするにあたって
農民との交渉を
どこで妥協すればいいのかということです。

先ず日本人は値切ることになれていません。
デパートで物を買う時だって
値切る中国人を相手では
必ず相手にいいようにされてしまいます。
かつて私が日本の食品メーカーを
台湾に連れて行って
工場を建てたことがありますが、
枝豆の仕入れに使った台湾人のバイヤーが
目に余るピンハネをするので、
怒った日本人の総経理が
そいつをクビにしました。
ところが、日本人が自分で
畑まで出かけて行って交渉をすると、
ピンハネをされている時よりも
もっと高い値段を吹っかけられてしまうのです。
泣き泣き元のバイヤーに
戻ってもらったことがありましたが、
コーヒー豆の仕入れをするについても、
工場の建設工事の値段を決める時にも
同じことが起ってしまうのです。
やむを得ず、私の北京のマンションスタッフに
工事の責任者まで連れてきてもらって、
材料から手間に要する費用まで
いちいち計算してもらわないと
一歩も先へ進めませんでした。

また建築許可を
ちゃんと上層部のお声かかりでもらっていても、
中国の田舎のことですから、
窓口のところへ行くと、
何かとごちゃごちゃ要求されます。
日本人にはそういう習慣がありませんから、
どのへんで手を打ったらいいのか
全く見当もつかないのです。
やむを得ず、これまたわざわざ北京から
そうした掛け引きになれた人に来てもらいましたが、
日本人に工場の製品管理はできても、
値段の交渉とワイロの掛け引きは
全く駄目なことに気づくまでに
大して時間はかかりませんでした。
その代わり日本人のスタッフでないと
日本人の総経理が心配になって
夜も寝られなくなることもたくさんあるんです。
実地にやって見たら、
すぐにもわかることですが、
実地にやって見ないとわからないことなんです。


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